銀河帝国

mixiのコミュニティで運営中の自作無料ゲーム「ガンダムディプロマシー」とiPhoneアプリ「銀河帝国」のページです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

[G-Dip]ジオンサイド陣営初期生産兵器リスト再掲

コスト戦闘力対地対海対空対宇搭載射程生産ターン属性備考
マゼラアタック1008011通常/地
ガトル1008011通常/宇
ドップ1008011通常/空
ドダイ10080*111通常/空*搭載はMSのみ
ザク220021011MS/地・宇
コスト戦闘力対地対海対空対宇搭載射程生産ターン属性備考
HLV50 100 43*1艦船/地・宇*搭載一回のみ攻撃力なし
ムサイ200 200 222艦船/宇
グワジン600 500 633艦船/宇
パゾク100 100 63*2艦船/宇*3射程攻撃不可
ユーコン200 200 422艦船/海
ガウ200 200 222艦船/空
ダブデ500 400 022艦船/地
スポンサーサイト
  1. 2013/04/26(金) 18:57:00|
  2. ガンダムディプロマシー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1

[G-Dip]連邦サイド陣営初期生産兵器リスト再掲

コスト戦闘力対地対海対空対宇搭載射程生産ターン属性備考
61式戦車1008011通常/地
セイバーフイッシュ1008011通常/宇
TINコッド1008011通常/空
フライマンタ1008011通常/空
コスト戦闘力対地対海対空対宇搭載射程生産ターン属性備考
HLV50 100 43*1艦船/地・宇搭載一回のみ
マゼラン500 400 222艦船/宇
サラミス200 200 222艦船/宇
コロンブス100 100 63*2艦船/宇3射程攻撃不可
U型潜水艦200 200 422艦船/海
ミディア100 100 13*1艦船/空3射程攻撃不可
ビッグトレー500 400 022艦船/地
  1. 2013/04/26(金) 18:54:18|
  2. ガンダムディプロマシー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

[G-Dip]地上初期戦力再掲

陣営部隊パイロット
[E1 北米エリア]
[B8/キャリフォルニア/][/エゥーゴ/]/U型潜水艦 2//ミディア 2//HLV 3/
/TINコッド 4//フライマンタ 4//61式戦車 4/
[E2 南米エリア]
[B9(ジャブロー)][(連邦軍)](U型潜水艦 2)(ミディア 2)(HLV 3)
(TINコッド 4)(フライマンタ 4)(61式戦車 4)
[E3 北太平洋エリア]
[B10 ハワイ]
[E4 南太平洋エリア]
[B11 トリントン]
[E5 東アジアエリア]
[B12 ペキン]
[E6 インドエリア]
[B13 マドラス]
[E7 東欧エリア]
[B14#オデッサ#][#正統ジオン軍#]#ユーコン 1##ガウ 1##HLV 3#
#ザク 2##マゼラアタック 2##ドップ 2#
[E8 中東エリア]
[E9 西欧エリア]
[B16*キリマンジャロ*][*ティターンズ*]*U型潜水艦 2**ミディア 2**HLV 3*
*TINコッド 4**フライマンタ 4**61式戦車 4*
[E11 南極エリア]
[E12 北極エリア]
  1. 2013/04/26(金) 18:44:33|
  2. ガンダムディプロマシー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

[G-Dip]宇宙初期戦力配置再掲

陣営部隊パイロット
[S1 ソロモンエリア]
[B1 ソロモン]
[S2 サイド6エリア]
[S3 サイド3エリア]
[B3"ズムシティ"]["ジオン"]"グワジン 1""ムサイ 2""パゾク 2"
"HLV 3""ザク 2""ガトル 3"
[S4 サイド4エリア]
[S5 サイド5エリア]
[S6 サイド6エリア]
[B6・アクシズ・][・アクシズ・]・グワジン 1・・ムサイ 2・・パゾク 2・
・HLV 3・・ザク 2・・ガトル 3・
[S7 サイド7エリア]
[B2:ルナツー:][:ジュピトリス:]:ジュピトリス 1::サラミス 2::コロンブス 2:
:HLV 3::セイバーフィッシュ 4:
[S8 ア・バオア・クーエリア]
[B7 ア・バオア・クー]
[S9 月エリア]
[B4 グラナダ]
[B5 フォンブラウン] 
[SE 地球圏エリア]
  1. 2013/04/26(金) 18:43:18|
  2. ガンダムディプロマシー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

[G-Dip]全陣営初期情報再掲

デトネイション!!
ゲーム開始時
(連邦軍ステータス)
パトルポイント500
    TECレベル0
制圧基地ジャプロー
/エゥーゴステータス/
バトルポイント500
         TECレベル0
制圧基地キャリフォルニア
*ティターンズステータス*
バトルポイント500
TECレベル0
制圧基地キリマンジャロ
:ジュピトリスステータス:
バトルポイント500
TECレベル0
制圧基地ルナツー
"ジオン軍ステータス"
バトルポイント500
TECレベル0
制圧基地ズムシティ
#正統ジオン軍ステータス#
バトルポイント500
TECレベル0
制圧基地オデッサ
・ネオジオン軍ステータス・
バトルポイント500
TECレベル0
制圧基地サイド6・アクシズ
  1. 2013/04/26(金) 18:42:00|
  2. ガンダムディプロマシー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【G-Dip】ガンダムディプロマシールール再掲

1 全般

「ガンダムディプロマシー」は機動戦士ガンダムの世界観を舞台とした、多人数制戦略級戦争ゲームです。
各プレイヤーはアムロやシャアといったガンダムの登場人物や、オリジナルキャラクターとしてこの戦争に参戦し、所属陣営の勝利を目指します。

基本的なシステムとしては、プレイヤーのみなさんは毎週日曜日までに自分のキャラクターの行動を決定してゲームマスター(以下GM)に送り、GMは毎週木曜日までに結果を発表します。(なるべく水曜日には発表します)
この週後半のプレイヤーフェイズと週前半のマスターフェイズを合わせた一週間で一ターンとして進めていきます。ゲーム世界では一ターンは半月で、一月上旬の次のターンは一月下旬です。

2 目的

プレイヤーキャラクターたちは、宇宙世紀0079年4月上旬から0081年3月下旬の計48ターンのうちに自分の所属する陣営が地球・宇宙の全ての主要基地を制圧し地球圏を制覇することを目的として戦い、これをもって勝利条件とします。
48ターンで決着がつかない場合、最も多くの主要基地を制圧している陣営の優勝とします。

3 マップ

マップは地球マップと宇宙マップのふたつで構成されます。
 
宇宙マップ

S1 サイド1エリア B1 ソロモン
S2 サイド2エリア
S3 サイド3エリア B3 ズムシティ
S4 サイド4エリア
S5 サイド5エリア
S6 サイド6エリア B6 アクシズ
S7 サイド7エリア B2 ルナツー
S8 ア・バオア・クーエリア B7 ア・バオア・クー
S9 月エリア B4 グラナダ B5 フォン・ブラウン
SE 地球圏エリア

地球マップ

E1 北米エリア B8 キャリフォルニア
E2 南米エリア B9 ジャブロー
E3 北太平洋エリア B10 ハワイ
E4 南太平洋エリア B11 トリントン
E5 東アジアエリア B12 ペキン
E6 南アジアエリア B13 マドラス
E7 東欧エリア B14 オデッサ
E8 中東エリア
E9 西欧エリア B15 ベルファスト
E10 アフリカエリア B16 キリマンジャロ
E11 南極エリア(進入不可)
E12 北極エリア

4 ユニット

それぞれのユニットは、兵種と属性を持ちます。

兵種とは、艦船・通常兵器・MS・MAの四つ。
属性は、宇宙・空・陸・海の四つです。
 
艦船はひとつの部隊に一隻で構成され、搭載力を有します。
他の兵種のユニットが宇宙空間で行動したり、陸の属性のユニットが海を超えるのには母艦への搭載が必要です。
原則生産には2ターンから3ターン必要です。

通常兵器はひとつの部隊に四機で構成され、非力ですがコストが安いことが特徴です。原則生産には1ターン必要です。

MSはひとつの部隊に三機で構成され、汎用的な使い方が期待できます。原則生産には1ターンから2ターン必要です。

MAはひとつの部隊に一機で構成され、高価ですが強力です。原則生産には2ターンから3ターン必要です。

それぞれの属性はそのユニットの行動可能範囲を現し、また攻撃を受ける際の修正値に影響します。
複数の属性を持つユニットが存在します。

空白でない各陣営の主要基地もだいたい宇宙戦艦一隻ぶんほどの戦闘力を有しており、キャラクターを配属することができます。

5 バトルポイントと兵器生産・TECレベル・イベント

各陣営は、制圧している主要基地ひとつに対し、毎ターン500ポイントのバトルポイントを獲得します。
このバトルポイントは、「兵器の生産」「TECレベルの上昇」「イベントの実行」に使われます。
このうちTECレベルとは各陣営の技術力のことを指し、500バトルポイントの消費でTECレベルを1ターンにつき1レベル上げることができます。
TECレベルを上げると新たな兵器が生産できるようになります。各陣営の初期値はゼロです。
また、時折提案されるイベントの実行にバトルポイントが必要になることがあります。
兵器の生産は制圧している主要都市で行え、1ターンにひとつの基地で新たに5つのユニットの生産を始めることができます。
艦船やMAなど、生産に複数ターンかかる兵器を生産中でも、新たに5つのユニットの生産を開始することができます。
敵の侵攻を許した主要基地はその撃退まで新たに生産を始めることができなくなります。

6 戦略級プレイヤと戦術級プレイヤー

七つの陣営は、それぞれの総司令官として七人の戦略級プレイヤーによって率いられます。

戦略級プレイヤーは上のバトルポイントの消費や他の陣営の戦略級プレイヤーとの外交、そして全部隊の移動を行います。
このうちの一部または一時的に全てを陣営内の戦術級プレイヤーに委ねることができます。

戦術級プレイヤーはひとつの陣営につき三人まで所属でき、毎ターンその陣営の全ての部隊の中から搭乗するユニットを選び出撃します。
また戦略級プレイヤーの役割の一部を代行することができます。行動が重複していた場合、戦略級プレイヤのものが優先的に採用されます。
戦術級プレイヤーは、自分のキャラクターのいるエリアの自陣営の全部隊に対して、「防御」の方針を指令することができます。
「防御」方針が指令されていない全ユニットは「攻撃」の方針で自動的に行動します。
他の陣営への移動(寝返り・裏切り)もできるものとし、自らが新しい陣営を旗揚げすることも可能です。
ただし、これらの行動は失敗することもあります。開始後5ターンも寝返り・旗揚げはできないものとします。

それぞれのプレイヤーはキャラクター一覧から自分の分身となるキャラクターを選んでください。
戦術級プレイヤーはオリジナルキャラクターを作って参戦することもできます。得意兵種をふたつ選んで下さい。

(追加ルール)

戦術プレイヤーは、自分のキャラクターがいるエリアの全ての自陣営ユニットに対して、その優先攻撃対象を指定することができます。

7 外交

戦略級プレイヤー(あるいは代行する戦術級プレイヤー)は他の戦略級プレイヤーと外交を行い「同盟」と「共闘」を決めて戦場に影響させることができます。

「同盟」は他の陣営との継続的な共同戦闘を行うことを意味します。
一度それぞれの戦略級プレイヤー同士が同盟に合意し、それをGMに伝えて成立した場合、どちらか一方または両方がこれを破棄しない限りは自動的に所属ユニットは同じエリアにいても戦闘を行いません。

「共闘」は他の陣営との一時的な共同戦闘を行うことを意味します。
基本的には1ターンに1つのエリアを指定して共闘しますが、合意により期間やエリアを拡大することが可能です。
連邦軍が南米・E2エリアにおいてティターンズと「共闘」しエゥーゴと戦い、同じターンに北米・E1エリアにてエゥーゴと共闘しティターンズと戦うことも可能です。
一方が反故にした場合は同盟・共闘ともに成立せず、ゲーム上のペナルティもありません。ただし奇襲効果のたぐいもありません。

8 戦闘

各ユニットは「名前」「コスト」「戦闘力」「攻撃特性」「兵種」「属性」「射程」「生産ターン数」のデータを持ちます。

戦闘力はイコール耐久力であり、戦闘力の半分が基本攻撃力になります。それに相手の属性を参照して攻撃特性の修正が入り、「射程」の修正が入り、パイロット修正が入り、「防御」方針の修正がはいります。

攻撃特性の修正とは、そのユニットが得意不得意とする相手の属性を現し、◎や○であれば得意な相手△ならば不得意な相手ということで攻撃力が変わってきます。無印の相手には攻撃できません。
射程の修正とは、そのユニットが得意とする距離で戦闘すると有利になるということで、相性が◎でかつ得意な射程で戦闘ができる場合、大きなダメージを与えることが可能です。
それぞれのユニットは得意な射程で戦闘しようとしますが、味方に前衛となる射程1のユニットがいなかったり弱すぎたりする場合、射程2や3を持つユニットは距離を縮められてしまいます。
輸送艦・HLVは特殊で射程3の位置にできるだけいようとします(敵からはなれようとします)が、その射程で戦闘をすることができません。またHLVは攻撃力を持ちません。
戦闘の結果、キャラクターは負傷または戦死することがあります。一回休みになります。
死亡の場合は新たにキャラクターを選びなおすか作り直してください。

9 移動

全てのユニットは、となりのエリアまたはそのエリア内にある主要基地に1ターンで移動することができます。
もちろん主要基地からその基地のあるエリアへの移動も1ターンかかります。
移動は、敵軍により阻止されることがあります。
移動先に敵軍がいた場合、それぞれの軍の戦術級プレイヤーが防御の方針を指示していない場合戦闘が行われます。
宇宙空間に移動する場合母艦が必要となり、また海洋を陸の属性を持つユニットが移動するにも母艦等への搭載が必要となります。
宇宙マップから地上マップへの降下は、SEエリアから地上の各エリアに行います。直接主要基地に降りることはできません。
地上マップから宇宙マップへの打ち上げは、地上の各主要基地からSEエリアに行います。

ジャブロー・ペキン・キリマンジャロ・トリントンら全ての地上主要基地には海の属性のユニットが侵入可能です。
地上主要基地の制圧には陸または海の属性を持つユニットが必要になります。属性空のユニットだけでは制圧できません。

北米E1エリアと南米E2エリアは陸続きです。
西欧E9エリアとアフリカE10エリアは陸続きではありません。
西欧E9エリアと中東E8エリアは陸続きです。
中東E8エリアとアフリカE10エリアは陸続きです。
南極E11エリアは侵入できません。


  1. 2013/04/26(金) 13:55:14|
  2. ガンダムディプロマシー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】エピローグ4

ラリアはワードナとの戦いが終わってからしばらくの間、なにをするでもなくリルガミンでのんびりしていた。祝いの騒ぎが収まり、共に冒険した仲間たちが少しずつギルガメッシュの酒場を去り、ウルフがフェールエンの王様に即位し、ウルフとリリィ、デメテルとガイシルトの合同結婚式が終わる。

日常。

日常…

ラリアは、自分が何をすべきかを見失っていた。勇者。勇者って平和な世の中で何をすればいいんだろう。ソラはマルゴーやデルフを追った。ダイトクはリルガミンの将軍になって忙しそうだ。多くの仲間はエトナ山の迷宮に向かった。あの砂時計はほとんど砂の動かない時計だった。それでも迷宮に行こうかと思ったが、サーティファイドやツバキ、シアやレオンたちが龍神の幻影と話し解決をしたらしい。

「よっ、と」

ラリアは宿のベッドから起き上がる。階段を降りると、サーファとノースアが旅支度をして待っていた。

「あっ…」

「一人で行く、などとは言わせませんぞ、ラリア殿」

「いや、俺はただ…あれ?ノースアいまラリア殿って?」

「今や、ラリア殿が勇者であることは皆が知っておりますからな。私があえて広めずとも」

「行こっ!ラリア。待ちくたびれたんだから」

「…ああ。行こう!サーファ、ノースア」

ラリアがぐだぐだしている間、ふたりはそれを見守り続けていた。尋ねることも煽ることもなく。ラリアはしばらく休むにふさわしいことをやってのけたのであるし、どういう判断をしようともそれを信頼して共にしようと決めていたからだった。

「俺はまず、村に帰ってじいちゃんにいろいろと報告するよ」

ふたりは微笑みながら続く言葉を待つ。

「それから、ええと、その。。。困っている人達を助ける。あっちこっちでさ。おかしいかな?」

サーファは首を横に振り、ラリアの手を取る。

「ラリアらしいよ。とっても」

ふたりは抱き合い、静かにくちずけを交わした。



(あ~あ、見せつけてくれちゃってぇ♪)
(ねーさんもあれくらいの男みつけないとねー!若いの。じじいじゃなくて/ボコッ/痛っ!)
(バカなこと言ってないで!あの三人について行くわよ)
(えーっ!あいつらには何回ヤられたか!)
(しょうがないでしょう!結局バカ親父の借金は残ったまんまだし、冒険者ギルドからは追放されちゃったし!このままじゃわたしらのたれ死によ!)
(あっちこっち旅するのなんだか楽しそうですぅ~)
(でも問題は、どうやって合流するかよね。。。)

と、そこに裕福な商人らしき恰幅のいいいでたちをしたヒゲの男が酒場にやってきた。

「あの、もし、冒険者の方に護衛の依頼を頼みたいのですが」

ラリアとサーファは顔を見合わせる。

「どちらまででしょうか?方向によっては…」

商人はラリアの育った村の方角への依頼を説明し始める。物陰にいたカースドールにも声をかけ、人数が必要なのだとも。

(やれやれ…最後まで手のかかる人たちですねぇ)

商人の肩には、かわいいリボンをつけた黄色いトカゲがちろちろ舌を出していた。


ウィザードリィε 召喚の陰符 完
  1. 2013/04/26(金) 00:30:59|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】エピローグ3

その夜、スィン族の長を歓迎する宴が開かれた。酒杯を空ける長に美しき女ドワーフが葡萄酒を注ぐ。続いて流麗なエルフが反対側から酒肴の盆を捧げた。

「ハッハッハ!これがリルガミンの敗戦の将の遇しかたか!なんの、これしきのことでワシの心胆を蕩かせるものかよ!娘、ダイトク殿はまだか」

「わたしが、そのダイトクです」

「な?」

族長は怪訝な顔付きでダイトクの顔を覗き見る。そして腰を抜かした。

「な!なんと」

「女装した男子ではないですよ」

族長はエルフの方もばっ!と見る。サラーフは にこっ とはにかんだ。「まさか!」

「いや、彼は女性です。今は」

族長の頭がこんがらがる。終いには血が上ってきた。

「こっ、ワシを謀るかっ」「すいませ~ん」

場違いに間の抜けた声が宴の席に届いた。すぐに若き東国の剣士が小さくて可愛い女の子に連れられ篝火の脇に姿を見せた。

「すいません、あの、こちらにダイトクさんという…あ、いたいた」「サラぁ!ダイトクぅ!」

リボンの少女、ヤマカゼはダイトクたちの方に駆け寄る。族長は怒りのタイミングを失った。勝手に性別を勘違いしたのはまあ、自分だ。しかしやる方ない。

「なんだ?ダイトク殿、東国人に知り合いが?」

「マサカドです」

「なにぃ?ハン!あの若造がか?マサカドというのはな」

族長を制し、ダイトクは篝火の元に歩み出る。

「約束ですよ、ダイトクさん」

ダイトクはソラが手にしている二本のロングソードを見て、一本を受けとった。

「マルゴーらを追っていると聞いたが」

近くにはトールとリンも来ている。トールは背中に大きなつづらを背負っていた。冒険者たちで分けた聖具のうちのコッズアーマーが入っているのだろう。ダイトクはガントレットを、ラリアはハースニールを、ウルフはヘルムを、カースドールはシールドを受けとっていた。

チン

剣を合わせて礼を取る。

「おねがいします」
「…お願いします」

後は剣で語り合う。

族長は、この時見たものを一生繰り返し酒に酔う飲む度に語ることになった。
  1. 2013/04/26(金) 00:30:20|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】エピローグ2

見渡す限り遮るもののない荒野。そこにひとり、ダイトクは抜刀し立っていた。

地鳴り。

砂塵。

スィン族の弓騎兵。ダイトクは身じろぎもせずに、放たれた無数の必殺貫鉄の鏃を核撃で打ち弾きすれ違いに二騎を斬り捨てた。

続けて第二陣の騎馬隊。先じた一陣が反転し挟みこもうとした矢先に、彼らは上空からの矢雨に射抜かれて動きを失う。

ダリアの飛竜隊とは!

僅かの間怯んだ第二陣には、池に潜んでいたリルガミンの部隊が猛襲する。

ダイトクは振り返り背後から下ろされた鋭い刃を横薙ぎに破砕した。間髪入れずに首元へ飛びかかる族の指揮官を投げ飛ばし身柄を抑える。

「まさか、本当にわたしがひとりで来たと?」

「ぐ、その手練れでは貴殿ひとりでも勝てぬかったわ、リルガミンの将軍よ。殺せ。我らに帰る地はない」

「否」

「なに?」

スィンの第一陣第二陣ともすでに戦力を失っている。だが、まだ本隊がいる。

「我がリルガミン王国は先のいくさで多くの命を失った。悪魔や死霊を追い払った今も住む者のいない地域がまだある。銀の翼。。。その地域に暮らし、魔の跋扈を防いではもらえぬだろうか。むろん、これは女王陛下の意思である」

数瞬の間族長は黙る。

「我らがそこで独立を叫べば?」

「アンデッドやデーモンに国を奪われるよりはマシだろう」

「…ふふ、わかった。ワシ一代はそのように従おう。女王でなく、貴殿の刃にかけてな!ワシは女の下は好かん」

ややこしいことになった。
  1. 2013/04/26(金) 00:29:41|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】エピローグ1

フェールエンの王宮。

「まったく口うるさいったらありゃしないのよ!あの乳母!ティガルとルルのことは私が育てるって言ってるのに聞きゃしないんだから!って聞いてんのウルフ!」

書類の山からウルフが顔を出した。

「ん?あ、ああ」

「聞いてなかったでしょもー」

「聞いてたさちゃんと・・・と、これで全部だな」

「え?その山全部終わったの?もう?私の愚痴聞きながら?」

「ったり前だ。俺を誰だと思ってんだよ?まあ、ガイシルトの奴が粗方まとめてあるのが多かったけどな。だがあいつはいつもツメが甘いし思い切りも悪い。おい、ローズ!」

「はい、陛下」

「この書状を弟んトコとロンバリアのハゲとヒゲとメガネんトコまでやってくれ。手土産は」

「心得ております」

「ああ、頼むぜ。よし、リリィ!行くぞ」

「え?ドコに」

「全土に学校を作るったろ?となりに託児所も作ることにした。旗印は、オマエ。今から現場に視察に行くんだよ。目一杯オバサン連の愚痴聞いて来い」

「えーっ」

「そこまでは俺の馬の背に乗せてやる。迷宮ん時も即位してからも、あまりふたりきりになったことはなかったからな」

「え、ウルフ馬乗れたの?てかティガルたちはどうるのよ」

「乗馬に剣術、礼楽に歴史。算術。法律。逃げ出したくなるほどやらされたよ。弟のほうが真面目だったが俺は一度も弟に負けたことはなかったな。ティガルたちはそれこそ乳母に任せればいいじゃないか。行くぞ!よっと!」

ウルフはリリィを抱き上げる。

「ちょっと!お姫様抱っこなんて!わたし!んっん。。。」

ウルフはリリィの唇を唇でふさぐ。

(ばか…みんな見てるのに)

後にフェールエン中興の祖と言われる長きウルフェン王の治世の、始まりの光景だった。
  1. 2013/04/26(金) 00:29:03|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】最終回「最後の戦い」

ワードナは胸に強い痛みを感じ、足早に棺へと帰還した。

横たわる強大な合成獣の骸・・・龍神の持つ無謬の鱗を纏った最強のガーディアンは、結合と指揮のユニットであったトンズラーをダイトクに狙い刎ねられ、あっけなく屠られてしまったのだった。それはほどなく消滅し、トンズラーと砕かれた棺だけが残る。あとは、冒険者たち。

「何と言うことだ・・・貴様ら!やってくれたな!」

転移をしようとする矢先だったラリアたちだが、すぐに臨戦体制を敷く。

「ちょっと、マズいかもな」

そのラリアのつぶやきをウルフがひろう。

「ソラかダイトクんトコならよかったかって?まあな・・・サポートに回る。気にせずやってくれ」

リリィのウインクをサーファも受ける。だが、ティルトウェイトを投げ合う戦いが始まり意外な活躍を見せたのは何時の間にか侍になっていたローズのそれだった。あっという間に抵抗の低いデルフとカースドールのうちヒトミ・ミホが倒れてワードナ・ソーンが強かにダメージを受けてしまうのである。そして、ついに運命の瞬間が訪れる。

「ぐぬぅ・・・今度死ねば簡単には復活できぬ!ソーンよ!」

「はい・・・神撃(アブリエル)!」

中空が渦巻き引き裂かれ、裂け目から黒くまた蒼白い虚無が滲み吸う。その陰力はなんと警戒していなかったワードナを飲み込んでしまう

「なんだとカースドール貴様らっ!」

ソーン、すなわちリエコ・カースドールは涼やかな勝利の笑みを浮かべる。

「そう。はじめからそのつもり・・・ばいばい、おじいちゃん・・ぐっ!」

リエコはデーモンロード、ワーガンにより斬り伏される。だが、アブリエルの魔法は止まらない。ラリアたちは残ったワーガンとマルゴーの二人に猛然と戦いを挑んだ。

地上のラクロアにて蠢動していたアークデーモンのマルゴーが恐慌に似た形相で叫ぶ!

「ワードナが!ワードナが!兄上」

そしてワーガン。彼らの抵抗も数に押される。

「させぬ!させぬぞ人間ども!自由を求め、原初より全てを記した筆をムフーズ様が母神ごと打ち砕きしその時より!貴様らなんぞに!貴様らなんぞにぃぃ」

叫びをかき消すのはダイアモンドの騎士。

「い い 加減にっ しろーーーっ」

閃光。

虚無の檻だけがその場にのこった。

「やった。。。か?」

へたり込みたいのを避けてウルフが気味の悪い暗き光芒を警戒する。

(無駄だ、冒険者どもよ。この程度の檻、この程度の魔法ではこのワシを封じておくことなどはできぬ・・・む?そこの娘、その頭は!まさか!)

「え、何」

突如としてリリィの被っていたヅラが輝き始める

「えっ!えっ!ウソ、ここでこの展開ってアリい!?」

リリィの悲鳴をよそに、ハゲのカツラは飛び上がる。リリィのバックパックがゴソゴソいっているのを見たノースアがすかさずそれを開けると、中からは人間の尾てい骨らしきものがやはり輝きながら浮き上がり、やがてそのふたつはひとりの人間を浮かび上がらせた。

(探したぞ・・・ワードナ!)

「トレボーか!この死に損ないめ!」

(さあ、逝くぞ・・・)

「や、やめい、やめんか!」

(黄昏の時は来た・・・三神は新たな世界に旅立つ・・・新たな世界!新たな世界征服逝くぞワードナ!力を貸せい)

「なんと!トレボー貴様!・・・それでワシを探しておったか・・・ふふふ、おもしろい!よかろう」

輝きが閉じていく。ラリアはその裂け目が閉じる瞬間、サーファに似た女神の微笑みを見た気がした。

冒険者とワードナらの、長きに渡る戦いはこうして終わりを告げたのである。
  1. 2013/04/26(金) 00:28:18|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百十六話「黄昏の力」

突如冒険者たちの前に現れた荘厳にして強麗なる龍神、エル’ケブレスの幻影にリルガミンの人々は畏れ慄いた。

『汝らに問う。代償を払い我が黄昏の力をもちい、ワードナに与せし悪しきものを封じることを望むか』

冒険者らはひとしきり相談をしたのちに結論を出す。幻影の前に飛び出したのはメルセデスだった。

「そんなの、決まってるじゃないここまできて変な力は借りないわよ」

横にラリアが並び出る。

「ありがとうございます。でも、俺たちだけでケリをつけます」

しばらくの間があった。龍神は、ラリアが背にし腰に差している聖具をみやる。そしてほどなく、幻影は地獄の門の前にいたそれと同じように薄れていった。後には人型の道化の姿が残るがほどなくこれもかき消えていく。

「ならば仕方ありませんね・・・」

ふと、メルセデスの手に真銀製の砂時計が握られる。まるで手品のように。エルの声がどこからか振り注いだ。

(思い上がりの甚だしい人間たちよ。失われ続ける命を止め得ぬ人間たちよ。もはやフェールエン、ひいてはエセルナートの崩壊まで時はない。後は自分たちだけで、この黄昏の時を越えてみせるがいい)

この日を境に宰相ノエルは姿を消し、わずかながらも着実に好転し平穏を取り戻しつつあったエセルナートの国々は急速にまとまりを失い乱れていくのだった。


地上、ギルガメッシュの酒場。

メルセデスは頭を抱えていた。

「ああ~!わたしなんかもしかしてやっちゃった系?ねぇコンゴウ!」

ゆさゆさされながらコンゴウが答える。

「あれでよかった、いやああ言うしかなかったと思うが?」

「そうよねそうよねぇ」

ゆさゆさゆさゆさ。

「それより問題なのは」

メルセデスのとなりにいきなり黒装束に桃色髪をした女性が座る。酒場で見る顔ではない。しかし勝手に話しを続ける。

「ワードナを止め滅したとしてその砂時計が止まるとは限らない、ということだ。奴のことだからな」

場が暗くなる。口を開いたのは
ガルだった。

「なにか、方法はないものでしょうか」

「行ってみればいい」

えっ?

「行って、人が思い上がってなどいないことを示せばいい。エトナ山の頂上だ。失礼だがワードナに太刀打ちできない貴公らは暇であろう?今や世界を滅ぼす可能性のあるワードナより、世界の崩壊を宣言したバカ龍のほうが人類にとり危険だろう。あ奴は黄昏の時が迫り焦っているのだ。。。ワードナは、ダイアモンドの騎士がうちとるか、さもなくば悪魔どもと離し属性変えでもすればさして脅威にならないとみる」

砂時計はゆっくりと刻限を近づけていた。
  1. 2013/04/26(金) 00:27:27|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百十五話「一瞬の間隙」

自慢のカモミールティーが入った。

「ルンルン♪」

地下一階、占いババのテント。

「あぁ…いまようやくティー♪ができたのにねぇ?あれが若さってやつかねぇえ~?キャロットの佃煮もホラ!いい色に煮上がったのにねぇ♪最近毎日のようにワタシんとこに来るから、食べに来るかねぇ?イッヒッヒ?お、噂をすれば誰か来たようだねぇ。忘れものは取ってきたかい?」

ババがふりかえる。そこには魔物さ三姉妹を引き連れたジジイがいた。

「忘れもの?フン!ワシをそこいらのジジイと同じように言うのか?少なくともワシは、数百年前にキサマと会ったことも言われたことも覚えておるよ…時の預言者ルーン」

「イッヒッヒ!イ~ッヒッヒ!そんな名前で呼ばれたこともあったねぇ!覚えてもらって嬉しいよぅ♪ジジババ同士逢い引きでもしようかね?」

ワードナはドン引きの顔だ。が、なにかに気づいたらしくニヤリとし傍らのミホを掻き寄せその豊満な胸に片手を差し入れる。

「フン!しわくちゃババアの趣味はないわ。それに、冒険者たちが来るまで話を引き延ばさせる気もない。奴らには下等悪魔をあてがっておいた」

ワードナはドラゴンの爪を抜く。それはかつて狂魔王ツヴェドリがフェールエン制圧のときにその王家から奪った伝説の剣だった。

「おやおや、若くて綺麗なのがお好みかい?仕方ないねぇ…」

老婆が光輝く流麗な大天使へと姿を変えていく。またいつの間にか無数の天使たちがワードナを囲んでいた。

悪の大魔術師は口の端を上げる。

「生憎だが、その姿もワシの好みではないな。まあ、どうしてもというなら抱いてやらんこともないが」

言うなり核撃を投げつける。中空で光るその衝撃の直中で、アークエンジェル“ルリエル”とデーモンロード“ワーガン”が激しく衝突し剣撃をぶつけあい始めた。

ワードナは、地下二階にあるみっつのプールには見向きもせずに地表へと迫っていた。
  1. 2013/04/26(金) 00:26:38|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百十四話「剣士四人」

地下迷宮の道すがら、リリィはウルフに聞いてみた。

「ねえ、ウルフ」

「なんだ?」

「わたし、人造人間なんだけど」

「ん?なんだいきなり」

「しかもわたしを造った義理の父親は不死王デルフなんだけど。知ってた?」

「みんな知ってるだろう?どうしたんだ今さら」

ラリアたちも足を止めた。

「今さらって…いいの?それ」

「は?」

「いいのかって聞いてるのよそれで!!いろいろと!」

リリィは顔を真っ赤にしてウルフの胸板を叩いた。

「あー、それなー。なんつーかさ。お前こそ今さらじゃないか?」

「えっ?」

リリィはきょとんとした。

「まあ、でもハッキリしといた方がいいんだろうな。こういうのは。お前さ、ホムンクルスで生きてきてさ、なにか…ふつーの人間と違うようなことあるのか?なにか薬がいるとか実は短命だとか」

リリィは首をぶんぶん横にふった。

「ない。パーティー組む前に自分でいろいろ調べたことあるけど、完璧」

少しだけある胸を張る。

「ならいいんじゃないか?それで。今さらデルフに寝返ったり無理やりに寝返らされたりはしないだろ?リルガミン女王の代役やってたころにも大丈夫だったんだからな」

リリィは(あっ)という顔をする。

「…悩んでたのか?」

(こくり)

「…ずっとか?」

(こくり)「途中から、ずっと」

「そっか。そりゃあ…」

ウルフはリリィの髪をわしゃわしゃして言う。

「悪かったな。気づいてやれなくて」

リリィは涙をうるませる。

「わたし…わたし…」

「心配すんな。お前がこのあとどうなろうが、どんな道を進もうが、俺はお前から離れたりはしないからよ。ずっと側にいる。最後までな」

「ウルフ…うえ~ん」

腕の中に飛び込み泣きじゃくるリリィをウルフは優しく強く抱き止めた。



(ねえ、ラリア)

(なに?サーファ)

(ラリアもあれくらいカッコいいこと言えないの?勇者なんでしょ?世界を救う)

(うっ/汗)

(まったくもー。剣の腕ならラリアの方がウルフより強いのにね)

(は、ハハハ)

リリィをうらやんでラリアとつないだサーファの手を、勇者は照れながらも強く握り返してくれた。



地下五階、下り階段の部屋。

ソラは、ダイトクの正面に立って東洋式に頭を下げた。

「僕と果たし合いをしてください。お願いします」

ダイトクは表情を変えない。ソラは続ける。

「『将門』を名乗るのには、やはりダイトクさんと戦って勝つ必要があるんです」

やはり表情を変えずにダイトクは返答する。

「断る」

「えっ」

「地下迷宮の深部でそのようなことをするのは禁物だ。それにフソウ最強の剣士の肩書きにわたしはまったく無関係だ」

ソラは気を落とす。ヤマカゼが割り込んで(ねえ!ぼくは?ぼくならいいよ!?)とか言ってるが届かない。

「しかし、ソラさんの力量は私も知りたい。ワードナを完全に倒し、無事に地上に帰還したら改めてこちらこそ手合わせをお願いしたい。果たし合い、は少し意味合いが強すぎると思う」

ソラはちょっと恥ずかしかった。ダイトクの言うことがいちいちもっともだったからだ。

「じゃあ、その時にお願いします!!」

「はい。ただし対等な装備でやりましょう」

珍しく微笑むダイトクの言葉は、実にもっともな話だった。
  1. 2013/04/26(金) 00:25:41|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百十三話「冒険者たちの未来」

地上、リルガミン。冒険者の宿。

サラーフはウルフに尋ねる。

「結局、フェールエンには行かなかったのですね。どうしてですか?」

リルガミンの街は活気を取り戻しつつある。ウルフはいつもどおりの装備確認の手を休めることなく言葉を返す。

「物事には優先順位ってものがある。そいつを間違えちゃいけない」

ウルフの確認は手早く正確だ。戦場をさ迷っていたころからの習慣だから当然といえばそうだが、こういう単純なことを怠っていったヤツから死んでいく。ウルフはそれを身を持って知っていた。サラーフの方を向き治って続ける。

「フェールエンは心配ない。弟がいる、国土がある、なによりも国民がいる。みんな強い」

ダイトクがふたりのそばに黙って腰をおろした。彼女の真新しい盾と小手は、さっきまで着けていた聖具と比べるとはるかに見劣りするものだが、ダイトクを包む空気はむしろより精悍になり、また温かく揺るがない。

「信頼している、と」

「ああ。だがそれだけじゃない。肝心なのはワードナを倒すこと…そうだろ?世界がなくなっちまうかもしれないんだろ?じじいの気分しだいでよ」

リルガミンやフェールエンだけでなく、エセルナートに住む多くの人たちはこの時、危機は過ぎ去ったと思っていた。口々に伝わる名はガイシルトでありマンフレッティであり、一番にはノエルとその正体の噂だった。ワードナについては忘れさられそれに挑み続ける冒険者たちの名が口に上がることはほとんどない。しかし…

「ウルフ!もう準備できたの!?」

「ああ、行こうぜ?くそじじいにトドメを刺しに」

表でヤマカゼと遊んでいたリリィと合流する。いつか、こいつとふたりの子どもとこんな風に過ごせる日が来るのだろうか。ウルフはそんなことをチラリと思う。それでいい。それだけでいい。世の評などはどうでもよかった。

リリィがリルガミン王宮に差したニルダの護りは、今日も光輝いて都を守っていた。



地下迷宮。

ソラとラリアがパーティーの先頭を歩いている。

後ろから話し声が聞こえてくる。

「ねえ、サーファはラリアとの子ども何人欲しい?」

「え!?わ、わたし?」

「他に誰がいるのよ!ねぇ、何人くらい?5人?10人!?」

「そ、そんな訳ないでしょ!?えと、んと、ふ、ふたり…あ…さんにん…くらいかな…」

ソラがちらりとラリアの方を見た。とりあえずラリアは表情を変えないように気づかないふりをする。低層に強力なパーティーとはいえ、地下迷宮なのだ。

「3人?ほんとに!?」

「じゃあ、リンは?」

まってました。

「そーねー♪ウフフ♪………6人」

ラリアがにやりとした顔でソラをちらりと見る。

ソラはちょっと顔を赤くした。平常心が足りない!

「6人って…リン、それ多くない?」

「あれーサーファはラリアとの子ども欲しくないのー?わたしはたくさん欲しいけどなぁ~」

「ほ、欲しくないなんていってないから!むしろ3人って言ったから!」

トールが声を上げて笑いだした。

「なんで6人なのかって?よく聞いてくれました!!」

誰も聞いてない。

「まず最低ふたりはサムライでしょう?でもバランスを考えるとひとりはニンジャか君主にしたいのよねー。あとは盗賊とー僧侶とー魔術師♪」

! という驚きの顔でラリアがソラをはっきりと見る。ソラの方は…平常心…平常心…

「リンってば!まさか子どもたちでパーティー作らせる気?」

「まさかって、他にどう聞こえたのよ。剣の師匠はソラ♪魔法はわたし♪盗みの技はトール♪」

「俺も入ってんのかよ(笑)」

「え~トールだめ~?」

「リン…それでもし全滅でもしたらどうすんのよ…」

「そんなヤワな鍛え方しないわよー。師匠がマサカドよー?わたしよー?最強に決まってんじゃないの♪ウッフ~」

「おい、今度は俺抜きかよ」

トールがげっそりする横をすり抜けて、リンはどぎまぎしているソラの手を取りに行った。ラリアは苦笑しながら、呆れた顔をしているサーファから隣のノースアへと視線を移す。彼は微笑んでいた。

「そのような未来、叶えなければなりませぬな、勇者殿」

「ああ、そうだな」

目的地までもうすぐだった。
  1. 2013/04/26(金) 00:24:34|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百十二話「まぼろしの龍」

地獄の門の前。強大なる威風を誇る己自身の幻影の前にエルはいた。

「陰陽互根・陰陽可分」

竜はこうべを垂れて了解しかき消える。冒険者たちはどうして門を越え地獄に挑みたがるのか?闇なくしては光もまたない。ムフーズを滅することにエルは賛成できない。地上の命運を握る倒すべき敵はワードナなのだ。

エルが振り返った先にいたのはワードナ。

「おもしろい。まるで東洋の者のようなことを言いよるのぅ。三神三界三軸…さん!がこちらの理(ことわり)であろう?」

ワードナは愉しげにエルを揶揄する。その手にはエルが愛用していた見えぬ刃、インビジブルソードが握られていた。

「ワードナよ。貴方の最終目的はなんなのですか?いかなる理を創造するつもりなのですか?」

ワードナは自らの墓所へと手招きする。その時、その方向からトンズラーのものとおぼしき悲鳴が聞こえてきた。

「来よ。雑談でもしようではないか?商談でもよいぞ?」

エルはおとなしく従い、かつて自分のレリーフがあった場所の扉をくぐる。

あたりにはトンズラーの絶叫が響いた。まるで精神を犯されているかのような悲痛な声とそこで行われていたおぞましき光景には、さしものエルも息を飲むのだった。

  1. 2013/04/26(金) 00:23:33|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百十一話「互角」

「なんじゃ?来んではないか。ツマランな」

ワードナは歳に似合わぬ筋骨隆々の肉体を幻惑のローブで包みながら言った。言葉通りつまらなそうな表情をしている。そのすぐそばでは、地面の上をふかふかふわふわと低く飛ぶ広い絨毯の上で息も絶え絶えにしている裸の三姉妹が光悦とした顔で横になっていた。いや、ヒトミだけは時折痙攣しながらも気を失うか寝入ってしまっているらしい。

「ワードナ様」

「ん?なんじゃ」

傍らで身を整え終えたデルフが控えつつも聞く。

「この余興はやはりわざとだったのですな?」

「当たり前じゃ。奴らどういう訳かワシの居場所を覗き見しては転移してきおる。ならばこのように挑発し最下層の魔方陣の魔物どもと待ち伏せてやろうかと思ったのだが…ヤメだ。攻める」

「わっ、ワードナ様…」

蕩けたまなこのままにリエコが少し震えた声を出し、ひじを立て身体を起こそうとする。だがワードナはそれを片手で制した。

「よい。しばしそのままにしておれ。足腰が立たんであろうが?」

ワードナはリエコにそう言いながらミホの髪をなで、手であごをあげて口づけをする。「あっ!んっ」ミホの身体が震える。

「お優しいのですね、ワードナ様…」

「ん?なに、これも余興よ。愛、ひと、世界、神…すべてワシの余興。夢も現(うつつ)もすべてな…行くぞ、しもべども」

「「はい」」



地下一階、占いババの部屋。ダイトクやウルフたちはまたまたここにワードナの居場所を占ってもらいに来ていた。

「イッヒッヒ♪あんたらも懲りないねぇ?早いこと分霊箱壊してから来りゃあいいのにぃ?…ナンジャモンジャナンジャモンジャ…ああ、こりゃまずいねぇ」

水晶球の中では、傷だらけのソラやラリアたちがワードナたちの群れに突っ込むように転移していた。それを見るなりダイトクが小さく鋭く叫ぶ。

「すぐ助けよう」

皆がくびを縦にふる。ダイトクは言葉を続けた。

「我々の側の優勢はもはや失われた」

転移の魔法が唱えられる間にダイトクに言葉を返せたのはローズ。

「取り返しましょう。光を取り戻し始めた地上の人びとのためにも」

ワードナとしもべたちはほとんど無傷の状態だった。
  1. 2013/04/26(金) 00:22:28|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百十話「じゅうはちきん?」

『わーどなはかーすどーるたちとえっちしている!』

ウルフはため息をついた。
「なにしてんだこいつら…」

占いババの部屋でワードナの居場所を占ってもらったサラーフやウルフのパーティーである。そのまま7人はしばらく水晶玉を静かに見つめることにする。



地下六階。


ワードナとカースドールがいる魔方陣のエリア。


のそば。


おびただしい数の悪魔たちの骸が転がっている。

「さすがに強かったよね…でも六人なら負けないんだから!」

サーファが両手を腰に当てて勝利の笑顔を見せる。ここはワードナの墓所。先日ラリアたちが敗れたデーモンロード“ワーガン”らにリベンジをしたのだ。ノースアがサーファに声をかける。

「本当に、強くなりましたな。いま戦った者たちは、ワーガンの他にも神話伝説に出てくるほどの豪のもの。剣聖の名にふさわしいソラ殿だけでなくわたしやトール殿リン殿も、勇者殿も」

ノースアが振り返る。トールは(さっきテレポートの罠にひっかかったのにもめげずに)宝物を探して金銀を荒稼ぎし、リンもそれを嬉々として手伝っている。

そして、ワードナの棺の前に居並ぶ剣聖と勇者。

「これが、ワードナの分霊箱ですよね。ラリア」

「そうだ。ソラ」

ソラはほとんど予備動作なく居合いの一閃を石棺に食らわせる。神速の縦裂。

「だめです…ね」

村正に歯こぼれはないが、棺にダメージもないようだ。続いてラリア。ゆっくりと抜く聖剣ハースニールはいつになく光輝いていた。

「この棺の五芒星は、聖具がワードナを封じている証しなんだ。だからさびていたりカビていたりした。いま、みっつ光が消えてるのはこのハースニールとダイトクが持ってる盾と小手が封印を解かれた印。それはワードナが覚醒した時にこの棺を粉砕すべく聖具も覚醒しなくてはいけない…」

ラリアは振り上げたハースニールを両手に力いっぱいこめて振り下ろす。

ガキィィン!!

ワードナの分霊箱には小さくない傷がつくが、ほどなく消えてしまう。

「ダイアモンドの騎士が分霊箱を破壊し、ワードナを倒すんだ。それでこの戦いは終わる。…たぶん」


『ワードナはまだ美女さんにんといちゃいちゃしている!』
  1. 2013/04/26(金) 00:21:29|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百九話「エル'ケブレスと老人と異形のものたち」

リルガミンの街にひとりの老人が到着した。

長旅をしてきた魔術師なのか、よれたローブに深いフードをかぶり、白く長いひげを蓄えその手には細長くふしのついた杖を携えている。その老人はリルガミンの門番に古くから伝わる合い言葉を口にすると市街に入り真っ直ぐに宰相府へと向かった。

「もし、兵士の方。そこを通してくださらんかね?」

「何者か!」

「うーむ、何者かと言われるとなんて答えればよいか…」

老人が困っていたところへ、その後ろから宰相ノエルその人が現れる。

「どうかしたのですか。ああ、あなたは…衛士リューク、衛士ハンセン。この方は私の古くからの知り合いです」

「はっ」

「ほほ、助かったわ」

「どうぞ」

こうして老人はリルガミン宰相府へと入っていく。中ではサルファーンから来た無数の異形の者たちがエルを待っていた。



エルは老人に席を進め、異形者の代表にも同じようにした。他の植物とも動物とも形容しがたきうねる生き物は溶けるように姿を消す。

「まずはヤマタノオロチ殿。長旅、ご苦労様でした。疲れを癒してからと言いたい所ではありますが」

「なんのなんの!すぐそこまで飛んできたでな。扶桑はもうすっかり大丈夫。東方諸国も心配ないぞえ。ここのいくさも終わったようじゃのう?ひさびさにぶちかまそうかと思っておったが!」

エルは微笑してゼノンの方へ向き直る。異形異界の生命の長は、エル商店の店長の姿へと変化した。服までは変化できない。

「我々の悲願、ようやく」

エルはうなづいて先を促す。

「サルファーン南部の砂漠は、我々の故郷の星に本当に気候が似ています。まさかこの星にもあのような場所があるとは…あ」

ゼノンは数千年の長きに渡り、エトナ山の一角で一族と果てしない戦いを続けてきたこのドラゴンが涙を流したことに心底驚いた。そして自分でも気づかずにその手をとっていた。

「よかった。本当に、本当によかった」

エルらしくないとも、だが実際に見ると自然な涙。ゼノは嬉しさと、それと同じくらいの後悔を覚えていた。このドラゴンの言う共存という言葉を早くから受け入れていたら何千何万の分裂同胞が消されずに済んだのだ。いや、その種の危機に我々ゼノが発揮する大繁殖も彼に誤解を生んだという悲劇があったとはいえ…

ヤマタノオロチはあごひげに手をやりながら微笑んだ。

「なにやらよくわからんが、良かったのぅ…じゃが…人に紛れて暮らすのであれば、服は着た方が良いと思うがの…」


この頃、解放されたフェールエンでは代王ガイシルトが頑迷に正式な即位を拒否していた。
  1. 2013/04/26(金) 00:20:33|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百八話「ハゲのカツラ!」

カント寺院の旧地下霊安室の奥の方。

最近なにかにぎやかな催しがあったらしく、ソラ・トール・リンの遺体は普段は使われないこの部屋の隅に追いやられていた。他もはや立ち上がることのない多くの無名戦士たちの亡骸と危うく雑ざってしまいそうになる。特に灰化してしまったソラなどはトレードマークの髪留めが見つから無ければ見分けられなかったかもしれない。そしてようやくの ささやき いのり 詠唱…

ツバキは涙を誰にも見せはしなかった。



その外、リルガミンの広場。

「嫌っ!ずぅぇっっったいに嫌ぁっ!!」

リリィの叫び声が響きわたる。その視線の先には極めて強力なマジックアイテムをリリィに装備させようと真顔で迫るウルフがいた。
伝説のマジックアイテム…

『ハゲのカツラ』を。(笑)

「嫌!いやだってばぁ…」
もはやリリィの顔は赤から青ざめている。

「リリィ、わかってくれ。キミを護るためなんだ。何度も言ったように、このカツ…防具には強い魔法抵抗力があるんだ」

「嫌よ!そんなに言うなら自分でつければいいじゃない!!」

「俺には兜がある。だからリリィが…ぷっ」

「笑った!いま笑ったぁっ!!」

「笑ってない」

「笑ったって!!ちょっとサラーフさんもなんか言って!!」

「リリィさん、わかってあげてください。これはリリィさんのことをみんなが大切に思ってのことなんです。リルガミン王家に伝わる品という由緒からしてもやはりリリィさんがかぶるのがいいと思いますよ」

「嫌…嫌…サラーフさんが代わってよ…」

「嫌です」(きっぱり)

「うーわーん!」


地上でそんな騒ぎが起きているうちに、ワードナはポレの部屋に歩みを進めてしまう。

地下三階、ポレの研究室。
デルフが封じられている氷壁を背に、ポレはワードナを待ち受ける。

「来たかね、ご老人っっ!」

ワードナはしゃべるポレを一顧だにせずいきなり挨拶代わりに核撃(ティルトウェイト)をぶちかました。

「後悔する、と言うたであろうが。ム?ゥッ!」

挨拶代わりの大凍(マダルト)が返ってくる!ポレの回りには紫の肌をした、へびのたてがみを持つライオンたちが群れなしていた。ワードナのしもべの多くが既にそうであるように、このライオンたちも魔法に対する抵抗力を持つようだ。
ワードナは愉しげに頬を緩ませる。

「ホウ、魔法使い同士の殴りあいか。おもしろい!」

ツヴェドリから奪った黄金の剣をワードナは抜く。その前を走るヒトミ。左右を固めるソーンとミホ。仮に魔法使いとそのしもべ同士が互角だとしても、ワードナの剣とカースドールの存在が優勢を約束していた。
この後ポレを破ったワードナは冒険者たちと連戦することになる。
  1. 2013/04/26(金) 00:18:46|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百七話「結婚式」

カツ…

カツ…

カツ…

冷たく響くチェスの駒の音。

カツ…

白と黒の争い。だがその双方の駒を操るのは独りの男だった。どくろのような顔。骨ばった指先。擦りきれたローブ…

地下三階、ポレの部屋。

ポレは氷の壁に向かい、独りでチェスを指していたのだ。

「飽きないな、お互い」

チェスのことを言っているのかいないのか。ポレ自身にもわからないしそれはどうでもいい。王の入城…

「フェールエンのことかね?フム」

視線が合う。氷壁の中には不死王デルフが封じられていた。その姿は棺のような陶器に覆われ、見る陰もない。凍師ポレはデルフの視線を読みチェスを指していた。

「あるいは…王とはワードナ?それとも君自身かね。私が思うに、生まれの順でリルガミンの王位につけなんだ君こそがツヴェドリなんぞよりよっぽどトレボーに似ていたと考えるよ。老死した狂王を教訓にまず不死となってから兄を殺し甥と姪を追放して王位を狙うとはね。ラクロア公…ダパルプス・リルガミン」

カツ…

カツ…

カツ…

この部屋のすぐそこまでワードナは迫っている。


地上、リルガミン。

宰相ノエルの要請により、二人の式は教皇マンフレッティそのひとが執り行った。通常あり得ないことなのだが、教皇自身の強い意思で実現に至った。

アンディとシアの結婚式である。

「おめでとう!」

「おめでとうっ!!」

「おめでとう、シア。アンディ」

「ありがとうみんな!!」

重ねて浴びる祝福にシアは手を振り大声で答えた。アンディは少し動きがぎこちない。この対照的な二人の動きは誓いの口づけを機に交代する。

『汝、アンディ・ラクティカはシア・ユーリ・コンティーを生涯の伴侶とし…』

事態が事態であり、豪華な結婚式という訳にはいかない。だが教皇のおでましとなりカント寺院も総出であり、冒険者たちも少なくない数が集まった。

「いいな、姉さん」

「次は俺たちだな、サーファ」

「うん!」

ノースアも微笑んでいる。

「シアさん、本当にきれいですわね」

「なにを言いおるか!ヴァイオレットがドレスを着れば敵うものなどは!」

「おいおいレオン、こーゆーのは競うもんじゃねーだろ?」

レパードはレオンの髭をくるくる回し始め、ヴァイオレットは思わず少し吹き出してしまった。


『汝、シア・ユーリ・コンティーはアンディ・ラクティカを生涯の伴侶とし…』

普段気さくにしている教皇も、風格を出しきっちりと式を進めている。ツバキは少しいたたまれなくなってきた。ガルとカエデがとなりにいることが嬉しい。ツバキはひとりで思い直し、壇上の二人に笑顔を向けることにした。


『では、誓いのキッスを』

ロンバリアの訛りが出たのかもしれない。歓声が上がる中、メルセデスはサラーフの手に腕を絡める。

「ねえ、私達もさー」

「無理です」

「え?」

「私、女の子になってしまいましたから」

サーティファイドがぷっと吹き出している。コンゴウもニヤニヤした。

「え?えぇ?って、アンタらもみんな知ってたの!?」

髪にリボンをつけておめかししてきたヤマカゼがメルセデスの前に来る。

「ねえ、じゃあメルルってばぼくとダイトクのことも気づかなかったのぉ!?」

メルセデスは気を失ってしまい、式はまた混乱の内に終わってしまうのだった。

『信じてるからな、アンディ』

『お、おう。離すもんか。オマエの手も、ハートもな』

誓いのキスは、何回してもいいものだった。
  1. 2013/04/26(金) 00:17:55|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百六話「ワードナの逆襲」

世界征服。

世界の破滅。

新しい世界や宇宙の創造。

王位や帝位。

神。または神殺し。

復讐。

不老不死。

強大な悪が求めるさまざまなこと。しかしワードナは一笑に付す。

アミュレットの真の力を得れば、それらはいつでも望む時に望む形で、労せずして得られるからだ。

いま、彼の目の前で愚かな冒険者たちが重ね言葉を考えていた。

(フン…ククク)

含み笑いをする。まあ、いかにアミュレットとて爆笑のダジャレネタは出せんなぁ。…む?なにか考えつきおったか?

ニルダの神像の前に進み出たのはウルフだった。

『We tired because our fighter was fired, so we hired vampire from our empire.』(私達の戦士が解雇されてしまって疲れたので、私達はヴァンパイアを帝国から雇ってきました。)

場にいた幾人かの知者が微笑み、あるいは眉をひそめた。それ以外の者はきょとんとする。ワードナが(たわけめ、ダジャレだと言うのに)と口を開く前にニルダの像が反応をする。

(わたしが思い描いた言葉とは違います。ですが、光の冠を戴き世を明るく灯す者よ。あなたが治める、ワードナや不死族とさえ力を合わせ共存する帝国、楽しみにさせていただきますね)

リリィがウルフに駆け寄った。

「やりぃ!ウルフ。でも、共存って?」

「あ?いやそんな深い意味はないんだが…って、え?」

「えっ」

ウルフの手元にはいつの間にか強力な魔法の防具があった。

「これっ」

ニルダの像の微笑みに、ウルフはリリィの視線を感じながらもただ苦笑するしかなかった。



地下六階、ワードナの玄室。そして地下三階、ニルダ神像の部屋。数瞬ののち。

命知らずの冒険者三人が、部屋を開けるなり一気にそれぞれワーガンとワードナに襲いかかった。

「私を(ワシを)ナメているのか?(おるのか?)」

助ける余裕もなく、あっという間に全滅してしまう。油断もあろうが、不運も重なった。

ワーガンとワードナは、それぞれに冒険者の骸に足を置いて振り返り言う。

「次は貴様の番だエル'ケブレス(ウルフとやら)」

違いといえば、ワードナの方が人差し指を立てて振り、(チッチッチ)としているくらいだった。
  1. 2013/04/24(水) 14:17:25|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百五話「重ね言葉」

「暗黒であんこ食う!…いや、暗黒のアンコ食う!がよいか?」

あたりはしんと静まりかえっている。まるで誰かがひっそりとダルトの魔法を失敗したかのような静けさだった。地下三階、ニルダ神の彫像の部屋である。

ヒトミが弾けるような声で手をあげ飛びはねながら言った。

「はいっ!はいはーいっ!ヒトミちゃんおもしろいの考えついちった♪『エロマンガ島でエロマンガを読む』」

静けさが増す。ミホが無言でヒトミをどついた。ソーンが進み出る。

「こういったのはいかがですか。脂肪吸引を志望したらしぼんみすぎて死亡」

それを横目にミホが続けた。

「どうせならワードナ様にふさわしいお言葉を。全てを統べるすべをすべからく滑らぬようにすべき」

「それは重ね言葉とは少し違かろう?」

ワードナは気に入らないらしい。だしぬけにその背後に冒険者の一団が転移をしてきた。

「ム、カースドール!魔物どもよ!」

「ほいきた!」
「お任せを」
「そうそう何度もやられちゃカッコつかないわよね」

「待って下さい!」

場を鎮めたのはサラーフが上げた珍しい大声である。

「待って下さい、今はあなたと戦いに来たのではないのです」

怪訝な顔つきでワードナが相対する。

「なんじゃ、突然飛び込んできおってからに。いまさらこの数に怖じ気づいたか?」

ワードナはカースドールらを含め二十を越える魔物を従えていた。

「違います。貴方に聞きたいことがあるのです」

ワードナは無言で顎をしゃくりあげた。続けろ、という意味だ。

「三界の理とは?」

老魔術師の片眉が上がる。ほどなく破顔し、小さく笑い始めた。

「なんじゃそんなことか。フム、よろしい。教えてやらんでもないが、ひとつ条件がある」

「なんですか」

交渉はサラーフひとりが立ち、ウルフやダイトクらは油断なく控えて刃を抜いていない。

「それぞれにおもしろい重ね言葉を述べてこのワシを笑わせてみよ。悠久の時を生きると何かと退屈でな」

サラーフはメンバーとうなづきあう。

「貴方の真意は…」

ワードナが遮る。

「『生命の木』じゃ。ホレ、だじゃれは思いついたか?くだらぬことを吐くとためにならぬぞ」

ワードナの横でヒトミとミホは一生懸命に笑いを堪えるのだった。
  1. 2013/04/24(水) 14:15:06|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百四話「力への意志」

風が変わった。

リルガミンを包囲していたサルファーンの軍勢、悪魔や死霊どもは姿を消しエセルナート全土を蝕んでいた疫病や洪水、地震などは収まり太陽の光が燦々と大地に降り注いでいる。

解放された地方に人々が戻り始め、早いところでは復興の兆しさえ見えていた。彼らのまなこにわずかに蘇る光。微笑み。

だが、まだこの争乱に決着がついた訳ではなかった。暖かい風がそよぎ、希望の光が輝き始める一方で、冷たき絶望の闇もその淵を閉ざした訳ではなかったのである。


地下六階、地獄の門。

壮麗にして厳大なる巨龍の幻影の前。

扶桑の剣聖将門ことソラが一歩進み出て、主にノースアとサーファの知識よりまとめられたことばを唱えた。


「こほん、三界とは天界地界魔界の三つの世界のことなり。三界とはかつてひとつであった。天神カドルト、その妻である地神ニルダ、両者の子である生神ムフーズ、三柱の神が君臨していた。ムフーズは両親(神)に叛き、ニルダ神を夢神ドリームペインターと魔神マイルフィックという心と身体に切り裂いてしまった。ドリームペインターは地界にわずかに伝わり、マイルフィックはカドルトに敗れたムフーズと共に分けられた三界のひとつ魔界に封じられた。 カドルトが善、ムフーズが悪を、ニルダは中立を司る。ドリームペインターは夢や理想を、マイルフィックは現実や欲望を体現せしものなり。これが三界の理なり。」


しばらく何者も言葉を発しない。

龍神はたじろぎもせずにじっとソラを見つめ、冒険者たちはエル'ケブレスの反応を待った。地獄の門は変わらずに忌々しい口をたわませている。悪魔一匹出てくる訳でもない。

一瞬の間だったか、数分が過ぎたのか。時間さえ揺らぐ空間でその龍はようやく口を開く。

「「そは理(ことわり)にあらず。知恵無き者よ、下がるがいい」」

「あっ」「を」「きゃっ」

一斉に冒険者たちの身体が浮き上がり異なる場所へと転移させられる。トールは叫んだ。

「やべぇって!俺が張り付いたあのいしのなかに飛ばされたりしたら俺たちロス…」


静寂が戻る。幻影もまた、薄らぎを増して四散した。

地下四階、魔方陣。

大魔術師ワードナは苦い顔をして新たなる魔物たちを召喚していた。

「いかがなさいました、ワードナ様」

ミホが近寄り尋ねる。

「なにやら見られているような気がしてな。時折感じる。トレボーのくそじじいとはまた違う何者か」

ミホは辺りを見回す。ワードナはその後ろからミホの胸を鷲掴みにしニヤリとしながら言い放った。

「無駄なことをするでない。それより、見せつけてやればよい。ん?」

「わ、ワードナ様」

「なんじゃ」

一枚ずつ着衣を剥ぎ取られながらもミホは聞く。横でリエコは微笑み、ヒトミは嫉妬にむくれている。

「ワードナ様の望みは、いったいなんなのですか?」
「女」

口を吸う。

「…いまこの時はな」

「お戯れを」

「フン♪ワシは為したい時に為したいことを為す。それだけじゃ」

「嘘…あっ…」

「その口、いつまで利けるかな?老いたトレボーがワシを重用したひとつの理由を知るがよいぞ。ああ、貴様らふたりも来よ。ワシを裏切れぬほどの歓びを与えてやる」

「…はい」
「やったっ☆」
「ワードナ…様っ…」


(ワシはすべてを知るのだ。すべてを。神々、三界、宇宙、アミュレット、そして女も。邪魔する者はすべてを消し、必要ならばすべてを統べよう)

地下迷宮にカースドールの悦楽の声が響き渡った。
  1. 2013/04/24(水) 14:14:01|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】百三話「伝説の存在」

雲ひとつない晴天。

その下で、エセルナート諸国連合軍が集結し整列していた。解放されし都リルガミンの正門前である。

リルガミン・フェールエン・ロンバリア諸州・ダリア・サルファーン義軍などが一堂に会したその具足も曇りなくピカピカ、という訳にはいかない。傷つき壊れ、ツギハギがあてられておりそれらの持ち主もまた傷だらけだった。しかしその表情は皆明るい。

連合軍によって葬られた、みるもおぞましき巨獣の骸の固き外殻の上にリルガミン宰相ノエルが屹立し三軍に檄を飛ばした。

「連合軍のみなさん!生と死の狭間を潜り抜けたヒューマノイドのみなさん!!これからです!これから、われわれの世界エセルナートを悪魔たちから取り戻すのです!!」

ノエルが龍神エル'ケブレスの化身であるという噂は一時期軍中でまことしやかに流れ、信じられてもいた。姿を変えて悪魔死霊らを焼き尽くすところを見たというものすらいた。しかし本人は笑って否定するばかりだし、もしも本当ならばもっとさっさとサルファーンを倒しているというその言葉もあり今はその人間的な指導力を頼まれている存在だった。なにかにつけ四方八方に気配りし調整をする彼の姿は、あまり伝承に伝わる偉大なる龍神のイメージには繋がらないこともあった。ノエルは代わる。上がったのはリルガミン女王デメテルとフェールエン代王ガイシルトであり、その両側には法王マンフレッティとダリアの族長ユレウサである。

「リルガミンは、救われました」

デメテル生存。たまにリリィが代役を務めていたが、敵に狙われないようにか包囲戦の最中には宰相より姿を見せなかった。

「次は、ここにいる全員の故郷を救う番です」

ガイシルトが剣を抜き掲げる。

「祖国を取り戻す。この剣と、大神カドルトの名にかけて」

総員が剣を掲げる。

『出撃だ!』

オオーッ!!

兵士たちの閧の声が大空に響き渡った。



地下六階。

剣聖将門が、足をすくませた。

空間が黒く、まだら黒く裂けて闇が溢れている。忌まわしき波動を感じる。ソラでなくてもその異様すぎる目の前の現象には平静ではいられないだろう。吸い込まれるような黒。暗黒。

「こっ、これが地獄の門」

「門なんてないじゃない!」

さしものリンですら近寄ろうとしない。逃げたマルゴーはこの先にいるのか。

その時、一行の前に緩やかに朧気に、ほどなくにはしっかりとした幻朧が姿を現した。深く艶やかな翡翠色の龍鱗。荘厳な六枚翼。伝説の存在。エル'ケブレス。

「「いどみし者よ、ことわりを述べよ」」

大地の守護神。そのなぜか親しみや懐かしささえも感じさせる気高きまぼろしが冒険者たちにそう問いかけてきたのだった。
  1. 2013/04/24(水) 14:12:59|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】百二話「ロード」

『どこへ行くのだ、ワードナよ』

地下六階、ワードナの玄室。部屋の片隅で暗く座っていたオカマ?ドワーフのソーコ・ソゴことデーモンロードのワーガンがその本来の姿にゆっくりゆっくりと戻りながら口を開いた。伝承によれば、ワーガンは元は高位の天使だったともいう。六本の腕は堕天し抜け落ちた翼の名残であると。
「知れたことです。上ですな」

いわずもがな。ワードナは踵を返した。

『結界は破られ、ヤツらはまもなく来る。迎撃の布陣を敷くのだ』

その言葉はワードナに届かない。ワードナ・ワーガン・ソーンに大量のしもべを加えれば勝機はあったのかもしれない。

ワードナは答えずにカースドールやヘルハウンドの群れを連れて冒険者らのいる方角とは逆方向に姿を消す。

ガチャ

ほぼ同時に現れる冒険者たち。

『ヌン!』

先頭たっておどりかかってきた人間の剣士の刃を止め、構えごとその上半身と下半身をぶった斬り石化させる。しかし、ワーガンの怒りの表情はむしろ目の前の敵よりワードナへと向けられていた。



地下三階ニルダ神像の部屋にて、王位継承を巡る四人の話し合いはあっけなく決着をみた。

ガイシルトがまず口火を切る。

「やはり兄様こそがフェールエンを統治すべきだ。兄様は、いつも私の憧れだった」

デメテルが続く。

「修道院の出自の私に王位になど未練はありません。ですが無責任なこともしたくありません。一連の騒動の責任を取り退位するにしても、争乱が終結し正当な手順を踏んで行われるべきだと考えます。リリィはどう思いますか?」

問われたリリィが言葉を発する前に、それに割り込むようにしてウルフがガイシルトの襟首を掴み上げるように凄んだ。

「オマエ、まだそんなこと言ってたのか!?王太子というのは王になる覚悟のできてる人間がなるものだろうが!!」

「それは…な、成り行きで」

「成り行きだとぉ!?」

いつもの二人と様子が違う。リリィたちは少し心配をしたが、しばらくするうちにこれがこの兄弟の仲だということがわかってきた。

「兄様が!兄様がいなくなったりなんかするから!」

「オマエはいつもそうだったな…口を開けば兄さん兄さんって。双子なんだから歳も変わらない。俺がそばにいたらオマエはぜんぶ兄さんだよりの人間になっちまっただろーが」

「でも兄様!」

「あーもーいい!!わかった!!オマエなんかにフェールエンは任せられない。俺が帰還を知らせて戴冠するから、オマエはしっかりデメテル女王の補佐をしてやれ!!」

「えっ」

「えっ、じゃない。オマエの考えてることなどぜんぶ俺のお見通しだ。昔からな。惚れてるんだろ?」

「えっ、あっ、う、うん」

「しょーがない奴だ…そんな訳だ、リリィ。リルガミンの女王でなくフェールエンの王妃の座じゃだめか?」

「それって…プロポーズ?なら【しょーがない】から受けてあげるわよ。もう驚かないんだから。そんな訳でデメテル姉様、わたしはフェールエンのウルフェン様にお嫁入りします。リルガミンをよろしくお願いいたします」(深々とおじぎ)

サラーフが近づいてくる。

「どうやら話がまとまったようですね。あれ、何か?」

リリィたちはじろじろまじまじとサラーフたちを見た。特にヤマカゼを。

「ねえ…あんたら本物?」

ヤマカゼらは苦笑するしかなかった。

「最初のころのアンドリューや、この前のラリアみたいに?本物じゃよ本物ー♪ワードナの魔除けもそれを入れとく印籠とかも持ってないし~」

ヤマカゼはぶりっこして見せたが、リリィは「どーだが」などと呟いていた
  1. 2013/04/24(水) 14:11:55|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百一話「大いなる転移」

『クロイナムの中にある黒いナム』

と地下三階中央の部屋から強制転移させられたワードナは自らの墓所で自信満々に言い放った。

「いきなり現れてナニ言ってんでヤンスか?」

「む?クロイナムを知らんのか。ロンバリアの叡智と呼ばれた大台所魔法術師を。それにナムといえばサルファーンの赤ら顔どもの主食ではないか」

ワードナはなにかが間違っているようだ。その間に刺客はすぐそばまで迫っていた。


ドリームペインターの神像の部屋。神々の争いに心を痛め、自らを善と悪に切り裂き封じたニルダの微睡む心の神殿。捧げられた中立の宝珠は、彼女の亡骸でもあるマイルフィックたちをドリームペインター神像の後ろに朧げに浮きだしていた。
ドリームペインターはソラやラリアに問いかける。

(「みなさんにお聞きしたいことがあります。神々は…わたしニルダはこの大地に、みなさんに必要でしょうか?」)

「はい、必要です」

よどみなくサーファが言いきった。

(「神々は…みなさんが思うほど完全なものではありません…めぐみももたらしますが、時に過ちをおかし、その争いにより迷惑をかけてしまうこともあります。それでも…いいのですか?」)

冒険者たちは少し話し合う。しかし結論はすぐに出た。そしてそれは変わらなかった。ラリアが進み出る。

「俺達人間、ヒューマノイドもしょっちゅう過ちを繰り返してます。他人を傷つけ大地を汚し、自分自身すらも欲望の犠牲になるほどに。だから、俺達にはかみさまを責める権利はないし、いるもいないもそんなこと言えた立場にないですよ。お互い不完全なもの同士、できればもう少し俺達を見守っていてくれませんか?」

(「そうですか…ありがとう/にこっ」)

空間がまばゆい光に包まれる。

この時より大地母神ニルダは蘇り、大地の災厄は終わりを告げリルガミンを包囲していた悪魔や死霊どもは姿を消したのだった。



その後ほどなく、デメテルとガイシルトはニルダの神像の部屋で目を覚ます。彼女らの前にはリリィとウルフたちがいた。リルガミンとフェールエンの王位について、もはやこの四人で最終的な判断をする時がきている。それぞれ置かれた立場は微妙に異なるものの、復興を待つ今や絆で結ばれた両国国民はこの四人をいずれが指導者になるにしても、歓声で迎えることだろう。


そして、その話し合いの死角で。


「おかえり、ニルダ」

(「あなた…すみませんでした」)

「いいんだよ。ぼくは信じてたから」

(にこっ)

「サラフィエル」

「はい」

「ドミエル」

「はっ」

「もう、みんなは大丈夫だろう。あとはみんなに任せようと思う。ぼくはニルダを天界に迎えてくるよ。サラフィエルは熾天使たちをまとめて地上を引き続き見ておいて。ドミエルはイスファンディヤールの魂をよろしくね。ぼくの息吹きが心配してたから」

「はい」「御心のままに」

「うん。あと…番人のみんなにも苦労をかけてごめんね」

(ぺこり)
(にこり)
「はい、退屈しのぎにはちょうどいいですよ」

「うん、みんなをよろしくね。ぼくが表だってあんまりあれこれするとよくない…あんな思いはもうごめんだから。ね、ニルダ」

(「はい、カドルト」)

(「じゃあ“まいるとしよう”」)

小さな光。道化の姿をした『人界の守護者』エル'ケブレス、老婆の姿をした『天使長』ルリエル、明赤色の髪をした若い女性の姿をした『地獄の門番』ララ・ムームーが転移する。


ローズが振り返った。

「なにかありましたか?」

「え?何かって?なにかあった?サラ、ダイトクぅ」
少しぼうっとした感じでヤマカゼは言った。

「いえ、なにも…なにもないですよ」

なにかあった気もするが、サラーフには思い出せない。ダイトクはニルダの神像を見上げる。

「きちんと、見守ってくれていたのだな」

「えっ?」

ダイトクは首を少し横に振り、記憶を振り払ったのだった。
  1. 2013/04/24(水) 14:11:03|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第百話「テンサイ」

リルガミンの包囲から半年が過ぎた。

人々の顔にも疲労が見てとれる。豪雨や暴風などの天災も止む気配を見せない。

あと少しで災厄は終わるのか。神のみぞ知る…否、あるいは、神にすらわからないのかもしれない。


地下三階、東の下り階段の部屋。大魔術師ワードナが大量の魔物を引き連れて現れる。

「これしきの階段もなかなか年寄りには堪えるな。とはいえ」

脇にいる悪魔や悪魔犬を見ては口を曲げる。

「こやつらの背に乗るというのも格好つかぬ。また若者の身体を奪うか?」

すべて独り言である。カースドールを連れていこうかとも思うが、墓所さえ安泰ならばいくらでも地上への挑戦はできる。優先順位を誤ってはいけない。ワードナは構わず眼前の扉を開けた。

「確かここは回転床の罠の部屋だったはずだが…むっ!」

とたんに一同の身体が浮き上がり、強制的に転移させられてしまう!!

「む、むぅ…!」

「あれ?ワードナの旦那、また戻ってきたでヤンスか?」

気がつくと地下六階の墓所である。腹立ち紛れにトンズラーを蹴飛ばしてやろうかとも思ったが、目の前に現れた美女を見てはたと止める。

「ほう、貴様は」

「ソーンです。以後お見知りおきを」

「小娘が変わったものよ。うむ、来るがよい」

ワードナはソーン(リエコ)を抱き寄せる。

しかし、なにか背筋に冷たいものが走った。



ソーンにワードナは首を寄せられ口を吸われる。

「どうぞ、お楽しみください。ワードナ様」

「…ふん」

なにか興が削がれたワードナであった。



地下三階、東の下り階段の部屋。ソラ・ラリア・ノースア・トール・リン・サーファの六人組。

「あれ?ついさっきまでの悪しき気配は」

マサカドが眉をひそめるが敵の影も形もない。ワードナたちはいましがた転移されてしまった。

「ソラ、じゃなかった。マサカドも感じた?いまの」

「はい、ラリアさん。あの、ラリアさんは無理してマサカドと呼ばなくていいですよ?僕がいまさら勇者さんと呼ぶようなものです」

「そう?じゃあ俺のこともラリアさんじゃなくラリアでいいよ」

「わかりました。ラリア」

わずかにぎこちない二人だったが、戦闘においては心強いこと限りない二人だ。

「この先を突破されたのではないといいですけど」

ソラとラリアはアイコンタクトを交わす。(それはない)とお互いのまなこが語る。そこに道化姿の男がふらりと現れた。二人は再びアイコンタクトを交わす。この男、相変わらず気配を取れない。道化に声をかけたのはリンである。

「あ~、ピエロで宰相でドラゴンズでボッタクルズなエルさんだ!」

「失礼、わたしはエルです。レディ?」

何もないところから花束を出す手品をしてはツッコミの代わりにリンに渡す。喜んだリンだったが、このあとすぐに迷宮探索に花束は邪魔でしかないと気づくことになる。サーファが代わった。

「エルさん、ラリアの呪い本当にありがとうございました」

「いいえ、これもビジネスですよ。皆さんは上客です」

なんとなく、出会ったころのエルに物腰が戻っているようだ。

「それで、そのエルさんが今度はなんで?」

トールである。彼はエルと少し距離をとる。

「少しフォローに来ました。どうやらこの階の魔方陣にもうひとパーティー待ち伏せているようですが…この階には対ワードナ最強の罠があり、一定の条件をクリアしなければワードナはその回転床のエリアを突破できない仕組みになっているのです。逆を言えば、ここを突破されればあとは関門らしきものはなく危険ということになります」

ノースアが進み出た。

「それで、その条件というのは」

「夢幻の世界で退屈されているドリームペインター神を、流麗な重ね言葉遊びで喜ばすというものです」

エルが言い切らないうちにトールは先へと歩き出した。エルは首を傾げる。

「どうしました?」

「ど、どうしたもこうしたも!つまりアレだろ!?もしワードナがダジャレの天才だったら世界はワードナのモンになっちまうかもしれねぇってことだろ!?じゃ急がないと」

エルは首を反対に傾げた。

「まあ、そうとも言いますね」
  1. 2013/04/24(水) 14:10:09|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第九十九話「ウルフの決断」

グレーターデーモン。上位の魔神。

相当のレベルの冒険者にとってさえも恐れられる、動ける死といえる。

その魔神が、あっけなく袈裟斬りに一刀両断にされていた。

(ドゥッ…ブゥゥゥヲ…)ズズゥゥン…

もはやマサカドは呼吸すら乱さない。その隣。

輝ける刃が魔神の片方の腕ごと首を飛ばしていた。

ズズゥゥン…

鋼鉄の蒼黒き皮膚をもつ二つの巨体が倒木のように地に沈む。ラリアは自分の身体が帰ってきたことを実感していた。

「強く、本当に強くなりましたな」

残る一体を相手するノースアも、そのような感慨にふける余裕すらあった。君主の聖衣は上位魔神の攻撃に対してすら安心して戦える。敵の背中には勇者と武神が迫っている。


最終決戦は近いようだ。


ソラやラリアたちが最下層にて分霊箱の破壊を目指すパーティーなら、サラーフやウルフのパーティーはワードナの撃破を目指す組だ。見事な分担であり隙はない。彼らはワードナの進み具合を見て、しかるべき場所で待ち伏せを始める。

「来ないねーワードナー」

ヤマカゼはヒマそうだ。

「いっそのこと、ずっと来なければいいのにね」

リリィはそう言ってから、ウルフのとこに近づいてふと思ったことを聞いてみた。

「ねぇウルフ、もしこのまま全部片付いてさ、姉さんやガイシルトくんが目を覚まさなかったら…どうするつもり?ふたりが目を覚ましても」

ウルフはこともなげに言う。

「例えなにがどうなっても変わらない。俺は俺だ」

「そ、そういうことが聞きたいんじゃなくて!んっ!!」

ウルフはいきなりリリィの唇を奪った。

「おまえのそばにいるさ。そのためなら、王だろうが王の兄だろうが、放浪剣士だろうがなんでも構わない。自分にとって何が大事なのか…サーファとラリアを見ていてようやくわかった」

真顔で見つめるウルフにリリィは赤面して顔をそむけた。

「ば、ばかっ!なんでいまなのよ!いま?いまさらじゃない!え?なに?え??もう!うっ…」

リリィはウルフの方をちらりと見た。ウルフはまだ真顔でリリィを見つめ続けている。

「うれしいじゃない!そんなこと言われたらさ!」

ウルフは背中からリリィを抱きしめた。リリィはふりかえり、自分からもう一度キスをしに顔を近づけた。
  1. 2013/04/24(水) 14:09:16|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

【WIZ】第九十八話「勇者の帰還」

ラリアはおっかなびっくりでギルガメッシュの酒場に帰ってきた。

「あ、あのぅ~俺…」

「ラリア!」
「ラリアじゃないか!?」

多くの冒険者らがすぐに気づき彼を囲む。

「みんな…ごめん!俺、ワードナに乗っ取られて」

「そう言わずに、勇者殿。勇者殿が体を奪われなければ他の方が奪われていたでしょう」

「だけど」

「そうです!自分がやられていたかもしれないんですから」

いつになく丁寧なソラ。ラリアへの尊敬の気持ちを失ってはいない。

「でも、俺は」

サーファが目の前に歩み出る。みな静かになった。

パァン!!



ラリアがサーファにひっぱたかれて頬を鳴らす。

「痛っ!…さ、サーファ!?ごめんて」

サーファはワードナ=ラリアの核撃により一度命を落としていた。

「いまのでおあいこね。(にこっ)おかえり☆ラリア」

「うん、ただいま」

ラリアは苦笑しながら、ゆっくりと力強くサーファを抱きしめた。酒場じゅうが歓声に包まれた。


ほどなくして。ラリアはゆっくりと口を開きはじめた。

「覚えてる。全部。身体はまったく動かせなかったけど、レリーフの向こうにはワードナの棺のある部屋があった。そこにエネフィムやトンズラー、カースドールがいたよ。退屈そうにしてた」

ガルがラリアの話を羊皮紙に速記している。

「ワードナの目的は、『神々のアミュレット』そしてそれを狙う冒険者たちの排除。そしてそのアミュレットがどこにあるのかというと…ワードナの左胸に同化している」

「同化?では彼の目的は達せられているのではないのですか?」

サラーフが尋ねる。

「ああ。ワードナは地下深い研究室で手に入れたアミュレットを存分に研究できればそれで良かったんだよ。でもトレボー王はそれを許さなかった。そして狂王の布告により集められた冒険者たちによってワードナは討伐され、封印されてしまった。冒険者たちに渡したのは研究の途中でできた模造品『ワードナの護符』だったんだけどね。俺が持ってたやつ。いずれにしろ、ワードナはそのせいで冒険者たちとトレボーの子孫たちに恨みを持ってる」

アンディがわざとらしくため息をついた。

「だからって、人類みんな滅ぼさなくていいのに」

ラリアが答える。

「それは、悪魔マルゴーや不死族デルフたちの目論見。ワードナとはお互い利用しあう関係で、人類が生きようが死のうが自身の邪魔にならなければどっちでもいいらしい」

シアがテーブルを叩いた。

「許せない!」

ラリアはうなづく。

「デルフは地上を不死族の世界に変えようとしてるし、マルゴーたちは地獄の門を開いて魔界と同化させようとしてる。迷宮が破られてニルダの守りが再び奪われればそうなるだろう」

めずらしくヤマカゼが酒場のすみっこで足をぷらぷらさせながらもうつむいている。ダイトクが進み出た。

「ワードナを倒す方法は」

「ワードナは…よくはわからないけど、魂を分霊?とかしてるらしい。どこかにある分霊箱を破壊しないと、ワードナは倒しても倒しても蘇る」

「なるほど」

最後に質問をしたのはウルフだった。仮面の男になっている。

「それで、アミュレットてのは一体なんなんだ?」

ラリアはしばらく思い出すように、言葉をまとめるように考えてから口を開いた。

「はっきりしたことはワードナ自身にすらわからないらしい。ただ、研究の成果として、原初の特異点『I』であるとかなんとか…意味わからないけどね」

ヤマカゼが急に顔を上げた。

「ねぇ、サラぁ!中立の宝珠配合しないと!」

難しい話でつまらなかったのか?そう勘違いする者も多かった。
  1. 2013/04/24(水) 14:08:15|
  2. ワードナ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。