銀河帝国

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【WIZ】第五十八話「修道院」

地上深夜、リルガミン。

カント寺院の奥に併設された修道院の一角が、突如として鳴り響いた轟音と共に紅蓮の炎を上げて燃え上がった。

「んん?なにかしたか?」
寝ぼけ眼でむっくりと起きたのはレオンである。ギルガメッシュの酒場にある仮設宿舎で寝起きしている。となりで寝ていたはずのレパードは、すでに素早い動きで装備を整えはじめていた。レオンもそれを見て表情を変えると、少しもがきながらレパードへと聞いた。

「一体、なんなのだ?この騒ぎは」

「わからねぇよ。でもあの火はカント寺院の方からだ、だとするとヴァイオレットがあぶねぇ」

レオンのスピードが三倍にあがる。


悲鳴がこだまする。その末尾はくぐもった濁音となり突然に打ち切られた。

紅き炎に照らし出された、暗紅き禍々しき姿。悪魔。山羊に似た頭、四本の腕。

そしてそのそばには、何体かの翼持つ小鬼たち。悪童のそれに聞こえたくもない下卑た笑い声。

「ウギョエァー♪」

燃え崩れさった外壁から、彼ら異形の悪魔たちが修道院の中へと侵入していた。

「ここまでです!」

立ち塞がったのはヴァイオレット。彼女は修道院にて寝食をしていた。慣れない戦棍を振るいインプの一匹を追い散らかす。

「お逃げくださいませ、女王様!」

「ヴァイオレット!」

「早く!」

ゼフロスから修道院にかくまわれていたデメテルを逃がしてヴァイオレットはたったひとり簡素な寝間着のまま精一杯の戦いを続ける。だがそこに二体のレッサーデーモンが凶悪な影を現した。八本の手が構えを取り、黒い火珠が生み出される。肩に膝にとインプどもに組み憑かれたヴァイオレットは、もはや成すすべがなかった。

ゴウッ

覚悟して体をこわばらせる。だが火炎(マハリト)の魔法はヴァイオレットのは身体を焼くことはなかった。見ると、一体のデーモンがよろめき倒れてもう一体の詠唱をも止めていた。皆が月明かりの方を見る。

「大丈夫!?ヴァイオレットさん!!」

討伐(バディアル)の魔法を放ったのはシアだった。

「マッタク、一人で戦おうなんて無茶だよっ!」
シアと共に駆けつけたアンディが一気に走り込み、ヴァイオレットに取り付いたインプどもをはがす。見るとレオンやレパードも悪魔たちとの戦いを始めていた。

「ありがとうございます!…レオン!レオン!」

涙が止まらない。ヴァイオレットはもう、自分の命はないものとついさっきまで思っていたのだ。

「大丈夫じゃ、む!」

「レオン!デメテルさまが!!」

インプらに手間取るうちに、デーモンたちが跳躍してデメテルを追っていた。

「表門の方にはガルとツバキがいっておるが」

「でも、彼女たちは!?」

「うん、レッサーデーモンを相手にするには厳しいな。ここを頼むぞ!」

レオンは赤い悪魔を追う。魔法抵抗の能力を持つ悪魔に対抗しうる戦士は、この中ではレオンが一番だろう。


正門。修道女たちが逃げていく。その中にデメテルの姿はない。

(グムム…)

「うっう…」

デメテルは悪魔の一匹により捕まっていた。首筋を掴まれ宙に上げられていた。

「さっせぇるか!」

ツバキは思い切り刃をふりおろす。ガキィン!!その刃は儚く砕け散る。

「えっ」

蒼黒き畏怖の姿。グレーターデーモン。その魔神はツバキの方をちらりと振り向くと、わずかに口を開いて見せたかと思うと後はツバキの存在を無視するか、あるいはわざと見せつけるかのように宙のデメテルをおもちゃの人形であるかのように弄びはじめた。

「そんな!嫌だ!!嫌だ!!させるかぁっ!」

折れた刃でのツバキの乱切りを蚊ほどにも気にしていない。だが、ふと魔神の動きが止まる。女王を放り捨てると、ゆっくりと振り向き咆哮をした。

「く…」

滝のように全身を流れ落ちる汗。ツバキは不覚にも折れた刃を握ったまま、自ら動く方法を忘れてしまう。

シュシュシュ…

さらに咆哮。

ツバキは、上位魔神に何本かの矢が飛び刺さるのを目にした。そしてすぐにガル・レオンの二人が両側から現れツバキを助けたのを感じた。

「デ、デメテル様は?魔神は?」

ガルがまず答える。
「正規軍がちょうどフェールエンから帰還したようだ。ゴードン卿たちならばそうそうあれにもひけはとらないだろう」

もうひとつの質問にはレオンが答えた。
「デメテル様の方も心配いらん。われわれの中でも一番頼りになる者たちがついている」


暗闇の中、デメテルは手を引かれる。

「あの、あ、あの…」

姿を隠すようにと、デメテルを育ててくれたシスターからは厳しく言われている。手ひく手は優しく暖かく、悪魔ではなさそうだがそれでも敵か味方かはわからない。

そこに飛び現れる二体のレッサーデーモン。

「ちぇいっ!」
「えーい!」

一行の先頭を走っていた二人の小さな女の子により、間もなくレッサーデーモンの一体の首が飛び、もう一体は袈裟斬りにされて瞬時に倒れる。

「えっ」

驚くデメテル。

「大丈夫ですよ、デメテルさま。貴女は死なない。私たちが護るから」

リエコ・カースドールの目には光が蘇っていた。
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  1. 2010/06/02(水) 02:17:22|
  2. ワードナ
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