銀河帝国

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【WIZ】第六十四話「邪悪なる者たち」

魔界の最下層深淵の魔宮。

『未だ、門は開かぬのか。マルゴゥよ』

「は、申し訳ございませぬ。ムフーズ様。しかしそれも時間の問題かと…ぐっ」

魔界を統べる神の座の前で、高位の悪魔であるマルゴーは苦痛に顔を歪めた。至高なる悪魔、“アークデビル”堕神ムフーズの前では彼とて子供のようなものに過ぎない。ムフーズは苛立っているようだった。

『そのような言葉は聞き飽きた』

ムフーズは深い紅闇色の玉座から立ち上がりマルゴーを見下す。その姿は不確かに揺らめき容易に定まりない。冷たき炎にも似る。

「あ、あとはワードナが…ワードナが封印を破るのみにございます」

『待てぬな』

「ムフーズ様!」

『“喰らう者”よ!』

玉座の脇に、くすんだ亜金色の化け物がふっ…と姿を現す。人形ではあるが羽根を持ち、大きく鮮烈な赤い口を持つ。魔神マイルフィックである。

『このわたしを呼びましたか?愚かな息子よ』

『ふ…戯言も飽きたわ』

かつて、天界地界魔界の三界はひとつであり、三柱の神が君臨していた。天神カドルトと、その妻である地神ニルダ、両者の子である生神ムフーズである。ムフーズはカドルトとニルダに叛きニルダ神をその心と身体に切り裂いてしまう。前者は夢神ドリームペインターとして地界にわずかに伝わり、後者は魔神マイルフィックとしてカドルトに敗れたムフーズと共に三界に分けられたうちの魔界に封じられてしまった。

『悪魔どもはみなあてにならん…もはやゲートキーパーもおらぬのだ。門を吹き飛ばしてみせい』

『そのようなこと…あなたがおやりなさいな』

容姿に似合わぬ声が響き、甲高い高笑いと共に魔神は姿を消す。カドルトが善、ムフーズが悪を司るならば、中立を司っていたニルダの半神がマイルフィックである。ドリームペインターは夢や理想を、マイルフィックは現実や欲望を体現していた。

「よろしいのですか…ムフーズ様」

『あれでよい。母君は…その片割れはあまのじゃくそのものよ』

赤く揺らめくムフーズの二つの眼光がマルゴーを捉える。

『もはや猶予はならん。早く門をこじ開けよ。地獄の門、生ける者どもの墓地の門をな』

「はっ」

三界の門は、カドルトの護りにより魔物には触ることもままならない。マルゴーはもどかしさを感じながら再びゼフロスの姿をとりラクロアに向かっていた。



サルファーンの帝都スィヤーウィシュ。その宮殿の一室。三日月の夜。

白面金髪の色男が一人、宮邸の美女とむつみあっていた。否、その先ほどまで美女であった者はデルフのエナジードレインを受けてとうにこと切れている。元よりデルフは相手が生きているか死んでいるかなどほとんど気にしていない。生ける者たちの結末は全て同じ、死。早いか遅いか。動かないままか、動き出して己の下僕になるかの違いだけだった。

デルフによる忌まわしき行為は夜明け近くまで続く。否、このようなことは不死王の気紛れのままにスィヤーウィシュにて果てなくくりかえされてきた。

部屋の扉がノックされ、声がかかる。

(デルフィ師、聖帝陛下がお呼びです)

「そうか、今いく」

デルフは身体を起こし、平然と答えた。今しがたヴァンパイアとなった侍女もデルフに微笑み口付けをすると、身を整えて闇に姿を消した。

「亡者を増やすために生者を根絶やしにできないのが残念だよねぇ」

不死王はそう、ひとりごちた。


暗き地下迷宮。悪の大魔術師ワードナ。

「むう、ここはどこだ!?」

迷っていた。

ふと、少し前に彼の墓所で言葉を交わしたトンズラーのことを思い出す。奴がいれば少しは役に立ったか?

「ワードナ様、あの胡散臭いマルゴーとかデルフっての、信用できるんでヤンスか?」

「信用だと?フン。お互い一度たりとも信用などしたことはないわ…ただ、それぞれがそれぞれの目的の役に立つと踏み手を組んでいるに過ぎぬよ」

「ははー、じゃあいつ裏切るかわからないんでヤンスかー。強そうでヤンスねぇあの二人」

「なんじゃ、そんなことを心配しとったのか」

ワードナは片眉を吊り上げる。

「ヤツらは裏切らん。裏切れん。このワシとワシのアミュレットなくしてはヤツらは目的を遂げられぬのよ」

「それが有名なアミュレットですか…一体それはどういうものなのですか?」

ワードナが印籠を開けて見せたアミュレットが放つ光に、エネフィムも目を見張り言う。

「フム、このワシですら完全にこれが何なのかは解っていないのだが…」

アンドリューとワードナの目が合い、アンドリューは思わず気圧されてまう。

「まあ、これが何かの鍵であるとか神であるとか宇宙であるとか、そのようなものでないことだけは確かじゃな」

少し間が空き、ワードナは続ける。

「そんなチャチなものでないことは、間違いない。このワシの封印はこのアミュレットの封印でもある。全て解ければ…カドルトもムフーズもデルフもマルゴーも…エル'ケブレスもララ・ムームーもルリエルも…誰もワシの敵ではない」

地下迷宮に再び死の静寂が訪れた。
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  1. 2010/07/20(火) 17:45:43|
  2. ワードナ
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