銀河帝国

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ガンダムディプロマシー第十六回「星の蜉蝣」

たらい回しにされているな、とシーマは思った。

宇宙。地球から見た月面の裏手、BS(バックステップ)と呼ばれるエリアに彼女はいた。いつの間にやら枢軸軍と呼ばれるようになった艦隊が集結しており、彼女はその中に埋もれている。

狭い宇宙艦の中の窮屈な雑踏。いや、意外に嫌いじゃない。元々宇宙(そら)で生まれ育った彼女である。地表みたいに無闇に広い所の方がむしろ居心地が悪かった。彼女が艦長を務める訳ではもちろんないが、新型ザンジバル級機動巡洋艦の評価は彼女を含めて高い。いつかこのような船を指揮したいと思う。彼女は、部下たちと狭い船室で海図を広げ戦況を話していた。

「勝ち馬に乗る。要はそこさ」

枢軸軍。先のソロモン会戦で実質的に勝利をしたジオン公国軍と正統ジオン軍がそう呼ばれていた。人によってはこのふたつに加えティターンズも含まれるのだが、そこは意見が割れている。表面上ティターンズとエゥーゴ・連邦の同盟は続いているものの、実質的には既に決裂していてジオン・正統ジオン側と通じているらしいといいのはもっぱらの噂だった。
対するは連合軍。狭義にはソロモン会戦で裏切られ敗れたネオジオンとジュピトリスを指す。そこに対正統ジオンで組んでいたエゥーゴと連邦までもを含めるのが広義の連合軍と呼ばれていた。だが連邦は中立と見る向きも多い。それらの本当の所がどうなのかは各軍の指導者たち本人でも全容はつかめていないだろう。狐狸のばかしあいが続く。シーマは埒があかない部下たちとの打ち合わせを早々に切り上げた。

「ったく。ドイツもコイツも回転が遅いねぇ」

作戦指令所に入る。寸暇をとることなく、彼女は情報を集めていた。あらゆる情報を。そこには彼女がいま所属するジオン軍と同盟中の正統ジオン軍の総帥、ガルマ・ザビが年上の将官たちに囲まれ着席して話をしている。

「…そう!だからもう心配はいらない。兄上と僕たちの間にわだかまりはない。今回の作戦もうまく行くよ、それで宇宙の始末はつく。おや、ガラハウ大尉じゃないか」

「ハッ!」

謹厳な顔をしてシーマは敬礼する。嫌だねぇ、お坊ちゃんの相手は。

「聞いているよ。地上では活躍だったそうだね。キミのような優秀なパイロットがウチにもぜひ欲しいよ。兄上の所が嫌になったらいつでも来てくれていいんだよ?」

「ありがとうございます。お言葉だけいただきます」

つまりは、ジオンが統合することはない…か。シーマは最近まで地上にてジオンとネオジオンの同盟の証としてネオジオンに供与されたのちに接収された秘密兵器ともいうべき巨大MA「アプサラス」のパイロットをしていた。ほかにもあちらこちらに陣営をまたいでの転属転戦が続き、いつの間にか所属意識が薄くなっている。もちろん、ヤバい仕事ばかりだった。一蓮托生と様々に命をかけ続けた部下たちからの信頼は絶対だったが、足にはなれども片腕と言える頼りになる存在にシーマは恵まれてはいない。
なにか思う所があるのか、ガルマはシーマを褒め続けた。

「いやいや、貴官はシャアや兄上の所においておくのはもったいないよ。そう、美人だしね」

「あ、ありがとうございます」

シーマにはこの坊ちゃんの真意が見えない。薄気味悪さすら覚える。戸惑いを装い視線を逸らす彼女に、一人の男の視線がぶつかった。

「お言葉ですがガルマ総帥」

「うん?」

「腕の立つパイロットをお探しでしたら、私より優れた者がございます。あそこにいるアナベル・ガトー大尉」

名指しされたガトーの眉がピクリと動く。一同の視線がガトーへと注がれた。ガトーが何か言おうと口を開くが、ガルマはそれを制して向き直る。

「ガラハウ君」

「はい」

「僕だってね…多くの人間を見てきたんだよ?わかるだろう?僕の言いたい事が」

…!

この男…

ガルマは鷹揚に作戦指令所を去る。すれちがったシーマの背筋に冷たいものが走った。

続いてガトーもすれ違う。

「総帥を甘く見ないことだ」

「フン、アンタの総帥じゃないだろう?ガトー」

扉が閉まり独りになる。これは面白いかもしれない。シーマの直感である。



地上、スピッツベルゲン。

この極北の世界で巨大なモビルアーマーが大空を闊歩していた。

その名をアプサラススリーという。少し離れた所をやはり似た名前を持つMAのアプサラスツーが飛んでいたが、その実力は段違いである。そのパイロットは初老手前の白髪の男である。

クーーーーッ

巨漢に似合わずこの飛翔体の発する飛行音は静かである。その男、シャリア・ブルは黙して任務につく。目指すはネオジオンがエゥーゴと交渉して獲得した地、ベルファスト基地。ネオジオンがジオンと袂を分かった時、彼はネオジオンに残留することを選んだ。ギレン総帥からの密命もないではないが、それにしても自らの意思である。

クーーーーッ

地表。無限に続くかのような地平線の銀世界。美しい。前任者の女パイロットは落ち着かないと言っていたが、シャリアは素直に美しいと思う。不意に無線が入った。

「シャリア大尉、どうか」

「これはシャア総帥。大丈夫です。万事うまくいっています」

「うん、頼むぞ」

ただそれだけの通信。だが互いの眼は様々なものを語り合う。例えることも説明することも難しい信頼感である。

クーーーーッ

いい機体だ。シャリアはそう思う。人殺しの機体。だがそんなものにも人の思いや癖など取り扱った者たちの様々なものが残る。前任者は変な癖もなくきちんと機械と向き合って手をかけていたことがすぐにわかる。こういうパイロットと戦うことになれば手強いだろう。スロットルが滑らかに動く。いい機体だ。

クーーーーッ

銀世界が明けていく。

その先に待っているものは、死神の鎌なのか、あるいは女神の微笑みなのだろうか。

シャリアは黙して任務を続けるのみであった。


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  1. 2013/10/07(月) 19:32:08|
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